企業の中でファシリテーターを仕事にするということ
この記事は「ファシリテーター」をテーマにしたアドベントカレンダーの1日目の記事になります。
企業内のファシリテーターの役割
クラスメソッドにジョインしてもうすぐ2年が経とうとしています。メインの業務はクライアントのチームの内製化支援ですが、社内では部署内や部署を越えてファシリテーションのデリバリーを行なっています。わかりやすいところで言えば「ふりかえり」の支援やチームビルディングの支援ですが、いずれにせよ「第三者」としての利害関係のない立場からのファシリテーションが有効に働いていると感じています。つまり、企業内のファシリテーターの役割は本当の意味でのフラットに参加者と向き合える存在なのだと考えます。もちろんチーム内、部署内でも「ファシリテーター」という役割を明確にすることで十分にその役割を果たすことができますが、そこにはファシリテーター以外のメンバーのファシリテーションへの理解がより大事になると考えます。ファシリテーターとチームメンバーとしての本人を分けて向き合えるなどの理解が。
フラットさと一歩踏み込むタフさと
企業の中はある意味「関係性」でなりたっています。役職は当然ですが、社歴や、個々の仕事での関わり合いの重さや軽さ、専門性の深さなんかも関係性を形成する要素になります。ファシリテーターはその役割から、個人として形成している「関係性」を活かすやり方もありますが、個人の関係性よりも向き合う場の価値に向き合うことが大事なことがあります。そもそも人は否定されたり、介入されたりすることに対して「敵」とまではいかないまでも「対立」を感じることはあると思います。しかしファシリテートの中では、ファシリテーターとしてその人の考えの「逆」を唱えてみることでその人の考えがより明確になったり、新たな発想に飛ぶこともあります。結果まで辿り着けばなんということはないのでしょうが、その途中に「異を唱える」ように相手が感じる行為を行うことは、結構難しくて、より良い議論になるという可能性を持っていても、踏み込んでの語り掛けができないことはよくあることだとも思います。忖度とか、空気を読むというのは企業の中には自然と転がっているものだと思うのです。そこで「ファシリテーター」という役割を受け止めてもらってよい場にしていくこと、自身もヒエラルキーに身を置きながら、フラットに接することができ、共感や理解の先にあるフラットさを活かした場にできるのが企業内のファシリテーターの役割の一つだと考えます。
ファシリテーションの体験を普段から感じられること
またファシリテーションは学ぶことも大事ですが、そもそもファシリテーターの居る場での「良い場」と感じる体験をすることも大事です。習うより慣れろという言葉もありますが、日々の体験から身についていくものがあると思います。ファシリテーション的な考え、振る舞いが普段から見慣れたものになると、無理やり感もなく、自然とファシリテーションが身につくと実感しています。私はファシリテーションの研修も提供していますが、まったく研修という形でかかわらずに、毎週の会議や2on1で私のファシリテーションを体感しているチームのファシリテーション力がアップしていると評価されたこともあり、その効果を感じたのでした。
ファシリテーターの広がり方は「徒弟制度」がやはり合う
今までもフリーランス時代から、ファシリテーションを身につけたいと相談してくださる方々には研修型よりも「弟子」という形で私のファシリテーションとそれまでの自分自身のファシリテーション感を軸に、ファシリテーションを成長させていってもらっていましたが、社内ではさらにその学習法はやりやすいのではないかと考えています。社内だと特に「学習費用」を発生しずらいこともありますし、自然に社員同志のつながりで発生されることができそうです。「師弟」となることで、お互いの緊張感も保つことができますし、関係性に名前がつくことでお互いの意識が有効に作用します。
相談できる「ファシリテーションの窓口」にもなりたい
ファシリテーション自体がまだまだ曖昧で…というよりは、幅広い意味合いが持ててしまうファシリテーションにおいては、その企業の文化に合ったファシリテーションを模索する人の存在が必要で、そのファシリテーター達に気楽に相談できると普段使いのファシリテーションのレベルが向上していくことになるでしょう。ファシリテーションが経験則に則っていることが多い現状では、企業の持つ特有の文化に合わせたファシリテーションが求められていくことになると思います。
今後は、物事を促進させるのに、特有の状況に対して強制する形ではなく、あくまで支援という相手に委ねたやり方を模索する人たちに、完全な解決や完璧な結果ではなく、曖昧で複雑だけど、今のチームのやり方にあっているファシリテーションの相談をもっと受けられたらと思っています。
アドベントカレンダー2日目は私のファシリテーションの師匠筋でもある本間直人先生に続きます。今回はどんな話が語られるのか、楽しみです!